引き渡しが近づくと、一条工務店から火災保険・地震保険の案内が送られてきます。
「見ても難しくてよく分からないし引っ越しの準備もあるから、おすすめプランでいいかなぁ..」
って考えちゃいますよね。
でも、内容を理解しないままおすすめプランで契約してしまうと
・必要のない補償にムダに保険料(掛け金)を払う
・保険料の高い保険会社と契約する
ことになり、お金をドブに捨てることになります。どういう場合に保険の対象になるかも頭に入っていないので、
「あそこの修理に保険が使えたのか!申請しておけばよかった..」
と後悔することも。
でも契約前にちょっと保険の内容を検討するだけで、
・保険料がグッと安くなって
・契約後の保険の請求漏れもなくなります
この記事で紹介する方法で保険を選んで、私の場合は掛け金が10万円安くなりました。
(浮いた10万円で新居のダイニング用に、念願のYチェアが買えました。Yチェアに興味のある方はこちら)
でも保険ってものは、保険会社が損をしないように細かな条件マシマシで制度設計するからどうしても小難しくなるんですよね。
難しいからほとんどの人は考えることを放棄しておすすめプランに入ってムダに保険料を払う。
そういう大勢の人が多くのムダな保険料を払ってくれるおかげで、保険会社が儲かり商品を提供できる。
これが保険の仕組みです。
この記事では時間をかけないで効率的に保険選びができるように、保険のエッセンスをぎゅっと煮詰めて解説しています。
保険選びのコツは、3つのステップを踏むだけ。
結論を手っ取り早く知りたい方は、前半(「住まいのサポート保険」~「Step③」)だけ読んでください。
住まいのサポート保険

最初に住まいのサポート保険の概要を頭に入れておくと、具体的な手順の理解が速くなります。
住まいのサポート保険とは:
・一条工務店が施主限定で提供している
・保険の運用は東京海上日動が行う
・火災保険と地震保険がある(下図参照)

それぞれに建物の補償と家財の補償があるので全部で4つに分かれます。

地震保険だけに加入はできず、必ず住まいの保険とセットで加入する必要があります。
Step① 対象を選ぶ

このStepでは補償の対象を、A~Eの5つのタイプから選びます。
A | 建物 | 家財 |
---|---|---|
住まいの保険 | ◯ | ◯ |
地震保険 | ◯ | ◯ |
B | 建物 | 家財 |
---|---|---|
住まいの保険 | ◯ | ◯ |
地震保険 | ◯ | ✕ |
C | 建物 | 家財 |
---|---|---|
住まいの保険 | ◯ | ◯ |
地震保険 | ✕ | ✕ |
D | 建物 | 家財 |
---|---|---|
住まいの保険 | ◯ | ✕ |
地震保険 | ◯ | ✕ |
E | 建物 | 家財 |
---|---|---|
住まいの保険 | ◯ | ✕ |
地震保険 | ✕ | ✕ |
どれを選んだらいいか分からない人は、Aタイプ(すべて選択)にしましょう。
7割以上の人がAタイプを選んでいます。
タイプは契約後にいつでも見直しできるので、ここで悩み過ぎないこと。
Step② リスクを選ぶ

リスクの種類
このStepでは、住まいの保険で「補償の対象となるリスク」を選びます。
住まいの保険は、①②加入必須、③~⑤オプションの5つのリスクに対応しています。
ポイントは「オプション③~⑤」のどれに加入するかです。

思考停止で③~⑤にフル加入して、必要のない補償にムダに保険料を払っている人が多いのが実態。
皆さんはそれぞれのリスクの要・不要を判断して、かしこく保険料を下げましょう。
おすすめは①②⑤に加入するパターン。
補償の内容 | 最小限 | 丸ごと | お勧め |
---|---|---|---|
①火災リスク【必須】 | ◯ | ◯ | ◯ |
②風災リスク【必須】 | ◯ | ◯ | ◯ |
③水災リスク | ◯ | ||
④盗難・水濡れ等リスク | ◯ | ||
⑤破損等リスク | ◯ | ◯ |
くわしく見ていきましょう。
①火災 ②風災 リスク
この2つのリスクは必須。
火災リスクには、落雷で家電が破損した場合の補償が含まれます。
風災リスクには、雹や雪で破損した場合の補償が含まれます。ただし除雪作業で壊れた場合は対象外。
大粒の雹で太陽光パネルが破損した場合などは補償対象になるので、太陽光パネルを搭載している方は安心ですね。
③水災リスク
住んでいる地域が
・浸水想定区域
・土砂災害危険区域
に指定されていないかをハザードマップで確認しましょう。もし指定区域なら水災リスクに加入することをおすすめします。
水災リスクには、豪雨で地盤が緩んで発生する土砂災害リスクも含まれます。
④盗難・水漏れ等リスク
・空き巣に入られた
・自転車が盗まれた
・配管が破損した
・車が家に衝突した
場合などに、その被害を補償するもの。
盗難発生率が高い地域を除きこの補償は不要です。一条工務店の1階窓に標準で設置される警報装置で盗難リスクは十分カバーできます。
⑤破損等リスク
ついうっかり壊してしまった、という場合に幅広く保険の対象になります。
・手が滑って食器棚から高級グラスが落ちて割れた
・子供がテレビにぶつかり液晶画面が壊れた
・ペットが引っ搔いてソファーに穴があいた
・掃除をしていてデスクトップPCが落下し壊れた
皆さんの家でも起こりそうですよね?
実際に多くの家で起こっています。下のグラフは実際にどのリスクに保険が支払われているかを表したもの。
家財に支払われた保険のうち、破損等リスクによるものの割合がいちばん高く半分近く(46%)になっています。

Step③ 最安値の保険会社を選ぶ

ここまで進んだ皆さん、凄いことですよ。
なぜなら、ほとんどの人は「パンフレットすらあまり見ていない」という状態で止まっているから。
節約マインドを持ち合わせているということですから、「ちりつも」でお金が貯まっていくのは皆さんのようなタイプです。
さて、ここからが最終のステップ。
具体的にはStep①②とだいたい同じ補償内容で見積りを取って、他社と比較します。
一条工務店の「住まいのサポート保険」が必ずしも最安値ではないので、見積り額を比較して最安値の保険会社と契約します。
保険会社は万が一潰れても(まず潰れることはありませんが)、制度上、皆さんが支払った保険料は安全に管理されます。
ですから、大手・中堅など保険会社の規模にこだわる必要はなく、純粋に見積り額の低いところに決めてOKです。
扱う商品が異なるので保険会社によって補償内容も微妙に違ってきますが、おおよそ同じ条件で比較すれば問題ありません。保険料は大きく違いません。
見積り依頼は、東京海上日動(住まいのサポート保険)以外の3~4社に出しましょう。
保険会社は自分でググって探しましょう。忙しい方は、ネットの無料見積りサービスを利用するのも手です。
スマホから簡単に一括で見積りの依頼ができるので時間がムダになりません。
火災保険の一括見積もりサービス
スマホ画面で、入力に迷いそうなところの画像を貼っておきます。







保険料を下げる方法

割引率は10年契約がお得
特別な事情がなければ、火災保険は10年契約の一択。
・2年契約➡7.5%割引
・5年契約➡14%割引
・10年契約➡18%割引
なお地震保険は契約期間の上限は5年にされているので、マックスの5年で契約しましょう。
評価額を下げる
火災保険は、同じ建物を建てる費用を補償するものなので、支払われる補償額=評価額です。
年々評価額がさがりますが、建築当時の評価額が適用されます。
少しでも保険料の支払いを下げたい場合は、評価額を下げることもできます。
100万円までなら口頭の申し出で可能。もっと下げたい場合、たとえば評価額を3,000万円から2,500万円にしたい場合は「約定」という裏技があります。
ただしこの場合は評価額の再計算が必要になるので、一条工務店に要相談になります。
地震保険で支払われるお金は、補償金ではなく見舞金です。損失額をすべて補償するものではありませんん。
支払われる補償額=評価額✕30 ~50%です。
評価額3,000万円の場合、50%が支払われる補償額の上限となります。

地震保険は、評価額自体も年率1.5%で減価償却した額になります。3,000万円の家の価値は1年経過すると3,000万円✕98.5%=2,955万円とみなされます。
火災保険は家を元通りに復元するのに要する費用を補償するのが目的です。
これに対して地震保険は家が損壊した後の生活の安定を保つための資金提供が目的。これが両者の評価額の考え方が異なる理由です。
年末調整を利用する
地震保険は年末調整の対象です。火災保険は2007年の税制改正で対象外になりました。
・所得税の控除額の上限:5万円(地震保険料の全額が控除対象)
・住民税の控除額の上限:2万5千円(支払った地震保険料の1/2が控除対象)
省令準耐火構造
保険料は建物の造りによって違います。マンションのようにコンクリート製は火災に強いので安くなりますし、木造は高くなります。
省令準耐火構造(T構造)に該当すると、保険料がH構造の半額以下になる大きなメリットがあります。
省令準耐火構造とは、屋根や外壁を不燃性材料にしたり部屋を石膏ボードで完全に区切ることで、外部からの延焼防止や他室への延焼を遅延できる造り。
i-smart、i-cube、グランセゾンは省令準耐火構造なので、H構造のセゾンA、 i-palette、i-smile よりも保険料が低くなります。
構造区分 | 保険料 | 建物の種類 |
---|---|---|
M構造 | 安い | 《主にマンション》 ・コンクリート造り(マンション) |
T構造 | 中間 | 《主に一戸建て》 ・コンクリート造り(戸建て) ・耐火建築物(鉄骨造り) ・省令準耐火構造(i-smart・i-cube・グランセゾン) |
H構造 | 高い | 《非耐火構造》 ・M,T構造にあてはまらないもの ・木造建築(セゾンA・i-palette・i-smile) |
標準特約を外す
皆さんから申し出をしないと契約に含まれてしまう標準特約というものがあります。
これもほとんどの人はつけままで契約して、ムダに保険を払っています。
住まいのサポート保険の標準特約は2つありますが、2つとも外して問題ありません。
標準特約 | 内容 |
---|---|
特定設備水災補償特約 | 「水災リスク」の章を参照してください |
臨時費用補償特約 | 保険金のほかに見舞金(保険金の10%)を受け取れる特約。 |
臨時費用補償特約を外すと10年間で保険料が約2万円安くなります。
Q&A

Q1.隣家のもらい火は賠償してもらえる?
隣の家に法律上の賠償責任はありません。
失火責任法という法律で、失火(過失による火災)の場合は損害賠償はしなくていいことになっています。
つまり隣家のもらい火で損害がでても、先方に「重大な過失」がなければ賠償義務はありません。(先方の好意によるお見舞金はいくらかもらえるかもしれませんが..)
このようなリスクに備えるために火災保険には加入すべき。日本では約8割の家が火災保険に加入しています。
また住宅ローンを使う方は加入が必須です。
Q2.家財保険の補償金額の目安は?
平均的な4人家族で、500万円です。
Q3.建物と家財には何が含まれるの?
建物には、太陽光発電・エコキュート・IHクッキングヒーター・門・カーポートが含まれます。
家財には下の表のようなものが含まれます。
家具 | テーブル・ソファー・椅子 |
家電 | テレビ・冷蔵庫・洗濯機・掃除機・デスクトップPC(スマホ、ノートPC、タブレットは対象外) |
衣服 | 洋服・帽子 |
ほか | 軒下に駐車収容している自転車や原付バイクなど |
Q4.地震保険には割引があるって聞いたけど?
地震保険の保険料には、耐震等級割引があります。一条工務店の家は耐震等級3なので、保険料は50%の割引になります。
耐震等級 | 一条の家 | 割引率 |
---|---|---|
1 | – | 10% |
2 | – | 30 |
3 | 全棟標準 | 50 |
4 | – | 50 |
5 | 2倍耐震 | 50 |
わが家は耐震等級5相当(2倍耐震)なのですが、保険料は耐震等級3と同じで50%割引にしかならないんですよね。今後の損保会社の割引率引き上げに期待です。
この点に関して、一条工務店に要望書を提出しました。
Q5.地震でハイドロテクトにひび。保険の対象?
外壁は保険の対象になりません。
建物の地震保険金が支払われるのは主要構造部に損害があった場合のみ。
主要構造部=基礎、外壁、柱、屋根など
保険金が満額支払われるのは全損の場合だけである点にも注意が必要。
損害の程度 | 支払われる保険金 | 状態 |
---|---|---|
全損 | 100% | 主要構造部の損害額が建物時価の50%以上 |
大半損 | 60% | 〃 40~50% |
小半損 | 30% | 〃 20~40% |
一部損 | 5% | 〃 3~20% |
具体例で説明します。
建築時価3,000万円の家が、地震で300万円の損害(建築時価の10%)が出たとします。
損害が建物時価の10%なので上の表の「一部損」に該当し、支払われる保険金は3,000万円の5%(150万円)が上限。
被害額300万円がまるまる支払われる訳ではないんです。
=====
家財の場合には時価総額の10%未満の被害額には保険金は支払われません。
たとえば家財の時価総額が500万円の場合は、保険金が支払われるのは損害額が50万円以上の場合のみ。
なので地震で40万円のテレビが壊れても保険金は支払われません。
こういったことを理解しておくと、必要のない補償に入って損するリスクが減らせます。
Q6.耐水害住宅は保険料が安くなる?
耐水害住宅にすると水災リスクは低くなります。
しかし現行制度では一条工務店の耐水害仕様を採用した場合であっても、保険料の割引はありません。(耐水害住宅についてはこちらで解説しています)
Q7.水災リスクは床下浸水も対象?
保険はおりません。
保険金が支払われるのは床上浸水の場合。
ただし床下浸水の場合でも、損害割合が建物評価額の30%以上の場合や、地盤面より45cmを超える浸水の場合は支払いの対象になります。
なお設備の場合は、特約を結んでいれば床下浸水でも支払対象。
なお、家の外壁まわりに設置される
・エアコン
・床暖房
・エコキュート
・蓄電池
・太陽光発電のパワコン
の室外機は、特定設備水災補償特約を結んでいれば床下浸水でも支払い対象。
この特約は標準特約として最初から標準でプランに含まれています。水災リスクがないのなら、この特約を外すことを忘れずに。

「特定設備水災補償特約」の支払限度額は、50万円, 100, 150, 300, 500万円から選べます
Q8.地震で起きた火災は火災保険で補償される?
地震に起因する火災は、地震保険の対象になります。
ちなみに地震保険は、地震のほか噴火・津波による損害を補償します。
Q9.破損等リスクの注意点ってある?
破損等とは「不測かつ突発的な事故によるもの」なので、経年劣化は対象外です。
「機能性が損なわれていない」場合も対象外。 機能性が損なわれているかどうかの判断は、保険会社がケースバイケースで行います。
保険申請時に写真や説明書で保険会社にうまく「機能性が損なわれている」ことを伝えましょう。
また住まいのサポート保険では、破損等の補償額は免責金額5,000円(自己負担5,000円)となります。
まとめ

火災保険・地震保険は次の3ステップで選ぶ。
①「補償の対象」を選ぶ
➡迷ったらAタイプ
②「補償対象となるリスク」を選ぶ
➡おすすめは ①火災 ②風災 ⑤破損等
③他社から見積りを取って比較する
➡ネットの見積一括サービスが便利
