近所のスーパーまで、自転車で買い物に行ったりしませんか?
子供さんが遊ぶときに、自転車を利用していませんか?
自転車事故の発生件数は年間8万を超え、中には加害者に高額賠償を命じる判決も。
賠償リスクに対して保険で対応する必要があります。この記事では、自転車保険について解説します。
自転車保険の加入義務化

義務化の状況
自転車保険への加入を、条例で義務付ける自治体が増えています。
2021年4月現在で、22都道府県が義務付け規定を設け、10都道府県が義務化まではしていないものの保険加入を努力義務としています。
条例 | 都道府県 | 政令指定都市 |
---|---|---|
義務(22) | 宮城県・山形県・群馬県・埼玉県・東京都・神奈川県・山梨県・長野県・静岡県・愛知県・三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・愛媛県・福岡県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島 | 仙台市・さいたま市・千葉市・相模原市・静岡市・名古屋市・京都市・堺市・岡山市・福岡市 |
努力義務(10) | 北海道・青森県・茨城県・千葉県・富山県・和歌山県・鳥取県・徳島県・香川県・高知県 | 北九州市 |
努力義務とは「自動車保険に加入するよう努めること」という規定。「自動車保険に加入すること(義務)」よりもトーンが柔らかくなります。
未加入に罰則ある?
今のところ、自転車保険に加入していなくても特に罰則はありません。
でも、罰則がなかったら入らなくても大丈夫?
車の場合、罰則がなくなったらシートベルトを締めるのをやめますか?
やめないですよね。罰則があるからシーベルトを締めるのではなく、万が一の時に自分の命を守るために締めるので。
自転車保険も一緒。万が一のときに、自分の財産を守るために加入するんです。
だから義務化の対象地域はもちろん、それ以外の地域でも自転車に乗る場合は保険に加入する。加入して、万が一の場合の家族の財産をしっかり守る。
これが重要です。
2018年の全国データでは、出火件数が37,981、自転車事故の発生件数はその倍以上の85,641ですよ。
家が建ったら火災保険には入るのに、自転車保険には入っていない…で本当に大丈夫?
高額な賠償額の例も
自転車事故によって高額な賠償金を請求されるケースも。
子供も加害者になりうる点に注意が必要です。未成年でも損害賠償責任を免れることはできません。
賠償額 | 事故概要 |
---|---|
9,521万円 | 加害者は11歳の男子小学生。夜間、自転車で帰宅中、歩道と車道の区別のない道路で歩行中の62歳女性と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折で意識が戻らず。 |
9,266万円 | 加害者は男子高校生。昼間、車道を斜めに横断中、自転車で対向車線を直進してきた24歳男性会社員と衝突。男性会社員に言語機能の喪失などの重大な障害。 |
6,779万円 | 加害者は成年男性。夕方、ペットボトル片手に下り坂をスピードを落とさず交差点に進入。横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷で3日後に死亡。 |
5,438万円 | 加害者は成年男性。昼間、信号を無視し高速で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷で11日後に死亡。 |
火災保険の特約がおすすめ

個人賠償責任特約
建物の引き渡し前に、火災保険に入りますよね。
火災保険にはオプションで、自転車事故もカバーする「個人賠償責任特約」をつけられます。
火災保険については、こちら👇で解説しています。
自転車事故だけでなく、「日常生活や住宅の管理不備等で他人にケガをさせたり他人の物を壊してしまったとき」の損害賠償を広く補償してくらます。
ここでは一条工務店の「住まいのサポート保険」(東京日動火災)の個人賠償責任特約について解説します。
補償を受けられる人の範囲は、
・契約者本人
・同居の親族
・別居の未婚の子
支払限度額は1事故あたり「1億円」。保険料(掛け金)は年額1,990円、10年で17,400円です。
示談代行もしてもらえます。
事故の加害者になった場合に、直接相手方と示談の話し合いをするのは、精神的に相当な負担です。保険会社が示談代行をしてくれるかどうかもポイントのひとつ。
家族型の最安値と比較
家族型で最安値(参考:マサルでもわかる自転車保険)の「サイクル安心保険(プランC)」(全日本交通安全協会・損保ジャパン)」と比較してみましょう。
項目 | サイクル安心保険 | 住まいのサポート保険特約 |
---|---|---|
年額保険料 (10年間) | 4,560円 (45,600円) | 1,980円 (17,400円) |
補償内容 | 自転車事故限定 | 限定なし(日常生活の事故) |
補償の範囲 | 家族全員 | 家族全員 |
支払限度額 | 1億円 | 1億円 |
示談代行 | あり | あり |
保障内容は「サイクル安心保険」は自転車事故限定ですが、「住まいのサポート保険特約」は広く日常生活の事故を対象にしています。
にもかかわらず「住まいのサポート保険」の保険料は、「サイクル安心保険」の半額以下。今回比較してみて、コスパの高さに驚きました。
わたしには火災保険をプッシュする義理も理由もないですが、コスト面から考えると自転車保険は火災保険の特約でカバーするのをおすすめします。
ちなみに自転車保険の中には支払限度額が2~3億円のものがありますが過大補償かな、と。これまでの賠償例からしても限度額1億円が最適です。
「入ってるかわからない」問題
コスト面のほか、火災保険の特約でカバーすることのもうひとつのメリット。
それは保険を一元管理できることです。
わが家の子供自転車も自転車屋さんで買ったときに保険に加入したのかどうか、記憶が曖昧でした。保証書が家のどこかにあるかもしれないけど探せない。
「探し物あるある」です。
今回は購入した自転車屋さんに問い合わて加入していること、保険期間がわかりました。
火災保険の特約で入っていれば、自転車保険の書類が散逸することもなくなります。火災保険の内容を確認すれば自転車保険の内容もわかるのでラクですね。
まとめ

✔ 自転車を利用するなら義務化の有無にかかわらず、自転車保険には加入すること。
✔ 子供が自転車事故の加害者になるリスクを考える。加害者には高額賠償が命じられる例も。
✔ 自転車事故は、火災保険の特約でカバーするのがおすすめ。