床暖房に「ヘッダーボックス」という設備があります。その特性を知っているかどうかで冬の快適性が違ってくるかも…という話。
この記事では、ヘッダーボックスの特性と設置場所について解説します。
ヘッダーボックスとは?
全館標準の床暖房。床下のパイプの中では、温水が常に循環しています。
ヘッダーボックスの中には、温水パイプが「人のお腹の中の腸のように」ぎっしり収納されてます。
見た目は「腸」ですが、役割はまさに床暖房の「心臓」。ここからパイプという「血管」を通して、温水を各部屋に送り出します。
ヘッダーボックスから送り出された温水は、各部屋をめぐりながら床に熱を伝えていきます。と同時に放熱により、自らの温度はだんだん下がっていきます。
その温度の下がった温水を暖め直すのが室外機。室外機を通って温かさを取り戻し、ヘッダーボックスに戻っていきます。
図面上のヘッダーボックスの表記は「HB」(Header Box)。面積が大きい家では「LHB」と標記される場合がありますが、Lは「Large」タイプの意味です。
設置のルール
ヘッダーボックスの設置には、3つのルールがあります。
① 設置階のルール ➔1階に設置しなければならない。
② 設置壁のルール ➔外に面していない壁に設置しなければならない。耐力壁に設置する場合は壁が厚くなる。
③ 距離のルール ➔「ヘッダーボックス」「RAYエアコン室内機」「室外機」のトライアングルの各辺が10マス以内にしなければならない。
RAYエアコンは長府製作所製ですし、床暖房も長府製作所由来。なので室外機は、RAYエアコンと床暖房の両方を兼ねたタイプになります。
おすすめの設置場所
家の中で温水パイプがいちばん集中している場所が、ヘッダーボックス。ですので、ヘッダーボックス付近はほかよりも2~3℃温度が高くなります。
この特性を利用して、冬期間の家の快適性をアップさせましょう。
ただヘッダーボックスには120~130cmの扉がつくので、見栄えが「いまいち」というデメリットも。
ということを考え合わせると、設置に向いているのは「暖めたい」かつ「見栄えが気にならない」場所になります。
候補のひとつは、玄関ホール。
玄関ドアから外気が入るので、LDKよりも室温が低くなる場所です。
ここの室温を少しでも上げられれば、LDKに出入りするときに玄関ホールに逃げる暖気を減らせます。
とはいえ、デザイン性を考えると来客の目に付く場所に設置するのは避けたいですよね。
来客の視界に入らない場所で設置ルールを満たす場所があれば、検討する価値ありです。
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わが家の場合、洗面所まわりに設置しました。洗面所で身づくろいや歯磨きをするときに、ほんのり暖かいとほっこりします。
そのほか、キッチンなんかも設置場所の候補になります。
ただしパントリー近くは避けるのが無難。温度が上がるので、食品まわりはNGです。
皆さんも、間取り図をみながら「暖めたい」かつ「見栄えが気にならない」場所を探してみましょう。
まとめ
✔ ヘッダーボックスは床暖房の「心臓」部。温水パイプが集まるので周辺は暖かい。
✔ 設置場所を工夫することで、冬場の快適性がアップする。(ただし設置場所のルールあり)
✔ 扉が付いて見栄えの問題もあるので、「暖かくしたい」かつ「見栄えが気にならない」場所を検討すること。