一条工務店では、一棟一棟、気密測定をします。
自分の家がどれぐらいのC値になるのか気になりますよね?高気密は一条工務店の売りの一つですから。
気密測定でのわが家のC値は0.3。想定以上の数値でした。
この記事では、気密測定の体験談と、高気密住宅のメリット・デメリットや経年劣化についてお伝えします。
C値とは?
C値とは、床面積1㎡あたりどれくらいの隙間(㎠)があるかを「㎠/㎡」という単位で表したものです。C値が小さいほど気密性が高く、性能がよくなります。
C値が1を切れば、一般的には高気密住宅と言われます。一条工務店が公表しているC値は、i-smartが0.59、グランセゾンが0.61。業界トップレベルです。
気密性 | C値 |
---|---|
高 | 0~1(i-smart 0.59/ グランセゾン 0.61) |
中 | 1~3 |
低 | 3~ |
日本ではこれまで気密性が重視されてきませんでした。従来の日本家屋ではC値4~5の低気密住宅がざらです。
一方、北欧スウェーデンではC値の最低基準が0.6と法律で定められています。
C値が1以下であれば高気密住宅と言われます。でもC値がいくつと数字を言われても、具体的にどれくらいの隙間なのかイメージできないですよね?
一般住宅の床面積の全国平均は38坪(126.8㎡)です。この平均的な住宅でC値が1の場合、家の中の隙間をかき集めるとハガキ程度の大きさになります。
参考までに計算はこちら。
C値(㎠/㎡)=隙間面積(㎠) ÷ 延床面積(㎡)
に代入して、
1=隙間面積(㎠)÷126.8(㎡)
隙間面積(㎠)=1×126.8(㎡)=126.8㎠
高気密住宅のメリット
光熱水費がかからない
省エネ。これが最大のメリット。
冬場は室内の暖気が外に逃げず、夏場は外の冷気が室内に入ってこないので、冷暖房の効きがよくなります。
ただ、高気密性でも断熱性能が低かったら冷暖房の効きは悪くなるので、どれくらい省エネになるかは、「断熱性」と「気密性」の掛け算。
一条工務店の場合は、高気密✕高断熱 なので省エネ効果は大です。
効率よく換気できる
一条工務店は換気システムのロスガードが標準です。汚れた空気を外に排出し、かわりにフィルターで花粉や黄砂などを除去したきれいな空気を家の中に取り込んでくれます。
高気密だと、この吸排気を効率よくできます。
水をストローで飲むときは、穴の開いていないストローを使ったほうがいいですよね。
想像してください。大きなストローで、家の中の空気を吸い出します。家の中に隙間がないほうが、上手く空気が吸えるはず。
このように、気密性が高いと、穴の開いていないストローで水を吸うように、給気・排気が効率よくできます。
温度・湿度管理がかんたん
そして、メリットの3つ目が、温度・湿度管理がかんたんなことです。これも大きいポイントです。湿度管理をうまく行うことで、ダニを防止することができます。
湿度管理が必要となるのは、梅雨から秋口までの6~9月です。ダニの発生を防止するためにも、この時期の湿度管理は重要。
【体験談】気密測定
C値0.7が合格の基準
一条工務店では壁ができて気密性がとれるようになった段階で、一棟一棟「気密測定」をします。全棟で気密測定をしているのは、大手ハウスメーカーでは一条工務店だけ。
一条工務店では、C値0.7が合格の基準になっています。0.7より小さい数値がでればOK。
測定の立ち合い
気密性の測定を間近で見ることができる機会なんて、めったにありません。ということで、仕事を半日休んで測定に立ち会いました。
まず窓を全部締め切り、換気口を目張りして気流の漏れがないようにします。もしどこかの窓が開いていれば、測定器がエラー音で知らせてくれます。
気密性の測定には、この筒状の機器を使います。上の大きな穴から家の中の空気をどんどん吸い込んでいきます。
気密性が低ければ空気を吸い込みやすく、逆に気密性が高ければ空気を吸い込みにくい、ということですね。
この筒状の機器から出たコードは、モニターにつながっています。ここからレシート状の測定結果がプリントアウトされます。
いよいよ測定。計3回の平均値が採用されます。
気になるわが家の結果は…3回とも0.3!i-smartの平均が0.59。はっきり言って期待以上の数値でした。
C値0.3の理由3つ
高レベルのC値がでた理由は2つ考えられます。
・耐水害住宅(高い水密性)
・引き違い窓の採用ゼロ
まず耐水害住宅を採用している点。耐水害住宅では水密性を確保するため、玄関ドアと掃き出し窓は耐水害仕様に専用に開発されたものが採用されます。
「耐水害住宅にすることで気密性が向上することはない」というのが一条工務店の公式見解。
ですが、この見解は気密性が向上するとアナウンスして数値がでなかった場合のクレーム防止のためのポジショントークだと考えています。水密性(=気密性)の高い窓・ドアを採用してまったくC値に影響がないとは思えません。
次に引き違い窓の採用ゼロである点。
「引き違い窓」を採用すると、C値は悪くなります。
わが家では設計の段階から「気密性の低い引き違い窓は使わない」という方針で打合せを進めました。理由は上に書いた「高気密のメリット」と関係があります。
気密性を高めて、光熱水費がかからず、温度・湿度管理がしやすい家にしたい、とおもったからです。
高気密住宅のデメリットは?
室内音の響き
高気密住宅のデメリットのひとつは、室内音が響くことです。
一条工務店のトリプル樹脂サッシは防音性能が高いので、家の中にいると外の騒音は聞こえませんし、家の中の音が外に漏れる心配もありません。
ただ気密性が高いので、室内の音が反響しやすくなるんです。
その対策としては、壁や床下にグラスウールを入れるのがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。
そのほか一見デメリットと考えられるこんなコメントをWEBで見かけます。
「高気密住宅は息苦しそう」
「シックハウス症候群の心配ない」
「二酸化炭素濃度が高くならない?」
「夏場に熱気がこもりそう」
「臭いがこもりそう」
これらは換気システムで解決します。一条工務店では高性能換気システム「ロスガード」が標準なので心配いりません。
ロスガードについてはこちらでも解説しています。
また、「湿度があがりそう」「結露が増えそう」という心配には、エアコンを使った全館除湿で対応可能です。
一条工務店の家のポイントは、(高気密)✕(高断熱)✕(高性能換気システム)の三位一体。
この3つが揃うことによって、非常に快適な住空間をつくりだすことに成功しています。
オーバーヒート対策がより重要
これはデメリットというより、高気密・高断熱住宅で注意すべきポイントですね。
高気密・高断熱住宅は「室温を保とうとする力が強い住宅」です。
夏場は日射熱が入ってこなければ、日中の外気温が上がっても、室内は夜から続く室温をそのまま保とうとします。
逆に日射熱が入ってくると、その熱を保持しようとするのでどんどん暑くなってしまいます。これが「オーバーヒート」と呼ばれるもの。
ですので、高気密・高断熱住宅には夏の日射遮蔽が不可欠。低気密・低断熱の家よりも、オーバーヒート対策はより重要です。
日射遮蔽については、こちら👇で解説しています。
C値は経年劣化する?
C値は時間の経過に伴って劣化します。
なぜなら、木材が時間の経過に伴って収縮するからです。窓・ドアを何度も開け閉めすることで少しずつ隙間もできてきます。
C値の経年劣化は避けられません。どのハウスメーカーで建てても起こります。
じゃあ、どれくらい劣化するのか関心ありますよね?私も知りたい。
でも、残念ながらC値がどれくらいの期間で、どの程度劣化するかのデータはありません。今後、一条工務店で実験データを開示してくれないですかね…
まとめ
高気密住宅のメリット
✔光熱水費がかからない
✔効率よく換気できる
✔温度・湿度管理がかんたん
高気密住宅のデメリット
✔室内音が響く ➡対策あり
気密性の経年劣化は避けられない